琵琶について

琵琶の解説

螺鈿紫檀五絃琵琶(らでんしだんごげんびわ)

正倉院在庫の五絃琵琶は現存する世界唯一のものとして有名です。
五絃琵琶はインドに起こり、中央アジアから北魏に入り日本に伝わったと考えられ、ペルシアを起源とする四絃琵琶とは発祥が異なります。
四絃琵琶と比較して、頭部がまっすぐ伸び胴の幅が狭く厚みがあるのが特徴で、表側の撥があたる部分には亀甲が使われ、螺鈿で駱駝に乗る人物が四絃琵琶を奏でる様子と熱代樹と五羽の飛鳥を配しています。
背面の槽は紫檀で作られ、螺鈿で上下二つの大宝相花紋と二羽の含綬鳥と飛雲を配した。まことに華麗な琵琶です。

五弦琵琶譜とは
京都にある近衛家の陽明文庫に所蔵されている重要文化財〈旧国宝〉で、楽器の五弦琵琶の演奏のために書かれた楽譜です。
参考写真のとおり巻物にかかれ、漢字の曲名の「天長久」、「如意娘」などか読み取れます。この巻物(五弦琵琶譜集)には28曲が収められています。
しかしながら、当時の楽器による合奏のためのいわゆる総譜(スコア)見つかっていません。
劉宏軍の見解によれば、他の楽器は五弦琵琶演奏と一緒に、メロディー、リズム、和音などを組み合わせ、西洋音楽のスタイルを用いて演奏したのではないか、もしくは他の楽器の奏者も同時に同じメロディーを奏したのではないかとも考えられるとのことですが、まだ研究の余地を残しています。
劉宏軍は、この五弦琵琶譜を研究、調査し、作曲家、演奏家としての豊富な経験の立場からこれらを現代の五線譜に合奏曲として訳譜しここに五弦琵琶譜からの多くが今に蘇ることとなりました。
これは単に楽器の五弦琵琶の演奏のみをフィーチャーしたものではなく、正倉院に残された多くの楽器のために合奏曲として、復曲されました。
これらの演奏、訳譜が当時の演奏そのままであるとの傍証は、史書の記録などから推測するしかありませんが,五弦琵琶譜の行間から、往時の演奏スタイル、メロディー、リズムを読み取り、浮かび上がらせ、おそらく当時もこのような演奏であったろうと推測しています。

中国琵琶について

中国琵琶は紀元前 221 年、秦の始皇帝が天下統一したころからあったと云われていますから、その歴史は約 2000 年以上にも及びます。どの楽器もそうてすが、琵琶も歴史と共に改良され今の姿になって
います。弦は 4 本で高音の方からAEDAに調律されています。この調律も近代に入っいてからものと、とのことです。
弦の材質は元々絹でしたが、いまはスティールを使用しています。ボディーは紅木と云う木で出来ています。
この素材は中国古筝にも使用されているところを見ると音の響きがよく楽器に最適なのかもしれません。
フレットはネックの部分は牛の角、胴体部分は竹で出来ていて,正確な音程と和音の創出を可能にしながら、弦を横に引っぱることによって出せる音程間の連続音を生み出す機能を持っています。
日本にも琵琶はあり、どちらも形は果物のビワそっくりなのですが、その弾き方に違いがあります。
日本の琵琶は主に扇形の撥(バチ)を使いますが、中国琵琶は五本の指に付け爪をつけて演奏します。
これは日本の琵琶が主に歌などの伴奏楽器だった為、一音一音を強く発音させることに重きを置いてたのに対し、中国琵琶はメロディーなどの演奏に多用されていたことによるのかもしれません。